労働者派遣法 改正のポイント2012
労働者派遣法が改正されました(平成24年10月1日より施行)ので、簡単にポイントをおさらいしたいと思います。
日雇派遣の原則禁止
日雇派遣については、派遣会社・派遣先のそれぞれで雇用管理責任が果たされておらず、労働災害の発生の原因にもなっていたことから、雇用期間が30日以内の日雇派遣は原則禁止になりました。
ただし、以下の場合は、30日以内の日雇派遣が認められます。
[1]禁止の例外として政令で定める業務について派遣する場合
[2]以下に該当する人を派遣する場合
(ア)60歳以上の人
(イ)雇用保険の適用を受けない学生
(ウ)副業として日雇派遣に従事する人
(エ)主たる生計者でない人
※ (ウ)は生業収入が500万円以上、(エ)は世帯収入が500万円以上の場合に限ります。
※ 高齢者の雇用の確保の観点から(ア)、生活のためにやむをえず日雇派遣という働き方を選ぶことが少ない等という観点から上記(イ)~(エ)が、労働政策審議会での議論の結果、例外として定められました。
例外業務とは、
ソフトウェア開発、機械設計、事務機器操作、通訳・翻訳・速記、秘書、ファイリング、調査、財務処理、取引文書作成、デモンストレーション、添乗、受付・案内、研究開発、事業の実施体制の企画・立案、書籍等の政策・編集、広告デザイン、OAインストラクション、セールスエンジニアの営業・金融商品の営業。
【管理人コメント】
ここ数年、単発派遣をメインでやってきた管理人としては非常に困った改正だと思ったのですが、ちゃんと配慮されてたのでホッとしました。
離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受け入れることを禁止
直接雇用の労働者を派遣労働者に置き換えることで労働条件の切り下げが行われないよう、離職後1年以内に、派遣労働者として元の勤務先に派遣されることはなくなります。
※ 60歳以上の定年退職者は例外として除かれます。
有期雇用の派遣労働者につき、無期雇用への転換推進措置を努力義務化
有期雇用の派遣労働者(雇用期間が通算1年以上)の希望に応じ、
[1]期間の定めのない雇用(無期雇用)に転換する機会の提供
[2]紹介予定派遣※の対象とすることで、派遣先での直接雇用を推進
[3]無期雇用の労働者への転換を推進するための教育訓練などの実施
のいずれかの措置をとることが、派遣会社の努力義務になりました。
※派遣先に正社員や契約社員などで直接雇用されることを前提に、一定期間派遣スタッフとして就業する形態
派遣先の社員との均衡(賃金など)が配慮
派遣会社は、派遣労働者の賃金を決定する際、
[1]派遣先で同種の業務に従事する労働者の賃金水準
[2]派遣労働者の職務の内容、職務の成果、意欲、能力、経験など
に配慮しなければなりません。
教育訓練や福利厚生などについても均衡に向けた配慮が求められます。
マージン率などの情報公開を義務化
インターネットなどにより派遣会社のマージン率や教育訓練に関する取り組み状況などが確認できるようになります。
※マージンには、社会保険料、労働保険料、福利厚生費や教育訓練費なども含まれていますので、マージン率は低いほどよいというわけではなく、その他の情報と組み合わせて総合的に評価することが重要です。
<公開の時期について>
派遣会社のマージン率や教育訓練に関する取組状況などの公開は、平成24年10月1日以降に終了する事業年度が終了した後、その事業年度分の公開が義務付けられているため、平成24年10月以降、すぐに全ての派遣会社についての情報を確認できるようになるというわけではありません。
順次、各派遣会社のホームページ等で公開されていく予定です。
派遣労働者の派遣料金の額が明示されるようになります。
明示されるとき
1派遣会社と労働契約を締結するとき
2派遣先に実際に派遣されるとき
3派遣料金が変更になったとき
有期雇用から期間の定めのない雇用への転換
有期雇用の派遣労働者(雇用期間が通算1年以上)の希望に応じ、
[1]期間の定めのない雇用(無期雇用)に転換する機会の提供
[2]紹介予定派遣※の対象とすることで、派遣先での直接雇用を推進
[3]無期雇用の労働者への転換を推進するための教育訓練などの実施
のいずれかの措置をとることが、派遣会社の努力義務になりました。
※派遣先に正社員や契約社員などで直接雇用されることを前提に、一定期間派遣スタッフとして就業する形態
【参考資料】
★ここが変わった! 改正労働者派遣法 ポイント・しくみがわかる本
★まる分かり平成24年改正労働者派遣法〔施行細則確定版〕
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